走馬灯・黒い虫と白い馬と

7月も半ばを過ぎても、いつまでたっても開けない梅雨。
ならばウイルスをきれいさっぱり洗い流してくれればいいものを、ここにきてますます上昇する感染者。
ゆえに疲弊する経済。
東京オリンピック取り止めを皮切りに、政治や災害や事件の辛辣なニュースに溢れ返り、ディストピアもデフォルトになりつつある昨今、皆様いかがお過ごしでしょうか?

前回のブログで私はまた「これからは私の時代!」とばかり偉そうなことをたくさん書き連ねていましたが、その後ウキウキの毎日を送るどころか、悲劇に遭遇したりなどしていました。これぞ負け猫の真骨頂だわ〜って思いながら今キーボードを叩いている次第。

というのも、10日ほど実家に帰ってたんですね。車で30分ほどの近距離にある実家。交通費が出ない仕事の場合、実家から通った方が安くすむこともあって。雨続きだし、実家から動いた方が何かと便利ということがあってですね。ちょくちょくメルカリも売れたりするもんで発送もあったりして。このコロナ禍でも重傷者は少なくなってるし、もういいかなって気の緩みがあったのも事実で、ついついまた実家で猫と一緒になってゴロゴロしてたんですね。そしたら。。

久しぶりに家に帰ったら。

廊下に置いておいた、い草のスリッパの上に、ふぁさぁっとなんか緑っぽい粉が降り積もってたんですね。え、何?って思ったら、その粉の正体、青カビだったんです。

廊下にも、白いみぞれみたいなのが所々に降り積もってたんですね。そちらは白カビでした。

青カビさんと白カビさんが、そろってお出迎えしてくださったんですね。

・・・もう、びっくりしちゃって。急いでピアノの部屋に行ったら、ピアノの鍵盤や椅子にもうっすら白カビが降り積もってて。ウワァァァって言って、半狂乱になって拭きまくったわけですけども。

お前、幼児を家に8日間放置して死なせたシングルマザーと同じやん、という思いが頭をよぎりました。大事な大事なグランドピアノを殺すとこだった。だらしなさで命を殺めて「死ぬとは思わなかった」って言い訳は通用しないのに。

ところで、悲劇はこれだけにとどまらなかったんです。

追い討ちをかけるように夜中、キッチンに、あの忌まわしき夏の害虫、Gが出たんです。

このダブルパンチにはさすがに打ちのめされました。一気に生気が吸い取られ、死にたくなりました。

結構エコロジストなので限界までエアコンはつけない派だったけど、もうそんなこと言ってられない。ピアノも家も家具もなにもかも寿命を縮めてしまう方がよっぽど罪深い環境破壊だと気づき、エアコンの除湿全開で。
除湿剤も買い込んで家中に置きまくりまクリスティ。

そして、血眼になって湿度やカビやGについて調べあさりました。

今まで湿度とか気にしたことなかったけど、それ以来、湿度計を導入し逐一チェックするようになりました。カビ菌は25℃以上湿度60%以上で活動を始め、80%以上で大爆発!カビ菌パラダイスとあいなるそうです。なお、カビとGの好む温湿度はほぼ一致するとのこと。

カビ菌パラダイスて、なんのイケメンドラマか。
「ウチさぁ、カビパラなんだ〜♩おまけにプラスG。今度遊びに来る?」
って、そんなの絶対嫌だ。

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話は変わってそれから数日後。7月18日の15時過ぎに衝撃的なニュースが飛び込んできた。

俳優・三浦春馬さんの訃報。

休憩中に同僚の人が特に驚いたそぶりも見せずに言うのに、全然信じられず頭が真っ白になって、でもスマホを見たら本当で、その文字の羅列にものすごくショックを受けた。今振り返っても、ここ10数年で最も衝撃的なニュースだったと思う。

ほとんどテレビは見ないのだけど、『世界はほしいモノにあふれてる』だけはちょうど実家にいる時にやってることが多くて、よく見ていた。世界のクリエイターたちのセンスあふれる逸品、JUJUと三浦春馬のゆるい掛け合いやファッション、全てがオシャレで、すごく癒される番組だった。

https://twitter.com/nhk_sekahoshi/status/1250355879188164614?s=20

女の人で「透明感がある」という表現はよく使うけど、男で使うなら彼だと思った。気取らないクシャッとした笑顔でラフな雰囲気を漂わせながらも、どこか現実離れした、透き通った宝石みたいな美しさがあって、それが番組の雰囲気にピッタリで。

これから先、世界中のたくさんの美しいモノに囲まれて生きてく人なんだろうなって思ってた。もはや嫉妬の対象にはなることはなく、普通の人よりもずっと美しくモノを引き立てられる人だから、日本にとどまらず世界中に美しい輝きを振りまいていってほしい、それでいい気分にさせてほしい、と世の中の大半の人も思っていたことと思う。世界中の美の限りを尽くしたモノを惜しみなく与えてあげたい、極上の逸品を所有する資格のある人なんだからって。

それなのに。
なんにも持たずに行っちゃった。
最後は、灰になって。

ただただ、残念だし、胸が苦しいし、信じられなくて、なんでどうしてと、ぐるぐるぐるぐる 、いろんな思いが巡って心が定まらない。

それで、よせばいいのに「三浦春馬」の4文字をずーっと調べまくったりしてしまった。

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そんな中ふと思い出したが、実家の元ピアノの部屋に飾ってあった作者不明の一枚の絵。(自分の過去のYouTube にも映り込んでたりする)

今まで特に気にかけたことなどなかったのだけど、まじまじとよく見てみると、これがなんだか「三浦春馬」という名前に実にぴったりの絵のように思われた。

三匹の白い馬が、浅瀬の浦のような所で、仲睦まじそうに水浴びしている絵。季節は、春という感じがする。まだ木々が芽吹く前の、おぼろげで静かな春の朝方の絵のように思えてくる。

すごく不思議な気持ちだった。単なる偶然なんだろうか。でもこの絵に少なからず癒されている自分がいる。いつまでもショックを引きずる心に、じんわり染みていった。

もし彼が、この世に疲れ果て孤独な気持ちのまま絶望して命を断ったんだったとしても、向こうでは心を許し合える仲間とともに、穏やかで安らいだ気持ちでいてほしいなと思う。

来世への希望を胸に、美しい毛並みを輝かせ、自由に走り回ったり、たっぷり休んだりしてほしいと思う。

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その後、黒い虫にはごめんだけど、毒餌であるブラックキャップを家の周辺に置きまくった。

黒い虫は殺すのに、白い馬だったらいいのか、お前はひどい奴だな、とたしなめる声が聞こえた。反論できない。三浦春馬さんが次生まれ変わるのは、自殺のペナルティもあって黒い虫からかもしれないしな。可哀想だけど、虫には苦しいという感覚や恐怖や悲しみの感情がないという説を信じるしかない。

・・・なんか私、支離滅裂じゃない?でも人生はきれいごとだけでは済まないな、というのがここ最近の実感。誰にでも、良いことと悪いことが起こり、黒い面と白い面がある。だからこそ陰影が生まれ、美しいメロディや感動する物語ができるのかもしれない。

と、この流れから次回は、三浦春馬さん出演でドラマ化もされた、ノーベル賞作家・カズオイシグロのディストピア小説『わたしを離さないで』について書きたいと思います。

これほどまでにディストピアな物語があるのかっていう衝撃的な内容で、それなのに静謐で美しく、雨の日なんかにどうしようもなく思い出してしまう作品です。そんな風に心に張り付いて離れないで、それについて長きにわたって考えてしまう、物語の力はすごいなと改めて思う。

例えばこのブログの文章などはすぐに忘れられてしまうかもしれないけど、物語は残る。物語の中で生き続けられる人は幸せだな。魅力的な物語を生み出す人もすごく尊敬する。

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