ドメスティックに恋をして。

先日、愉快な仲間たちと、女優を目指すお友達・坂本雛子ちゃんの初舞台(!)に行ってきました。

二組の夫婦のすれ違いをその子供たちの視点で描いた作品、『ドメスティックラブソング』。
雛子ちゃんは、舞台デビューにして主要キャストの妻役に抜擢!
そしてなんと、このチラシデザインも手がけているんです。
すごく繊細なタッチで美しく、ちょっとダークファンタジーな世界観も魅惑的で、国内外で人気が出そうな絵じゃないですか?

雛子ちゃんとは映画館のバイト先で出会い、お互い辞めた後も、デパートの夜勤や美術館のバイトで時々一緒に働いたりしてて。
今回はバイト先で知り合った共通の知人3人で応援に行ってきました。
映画を撮っている柴田豊輝(トヨフスキー)さんと、サブカルチャー及び各方面に造詣が深い浦中(ウラジミール)さんほっしぃ

小雪降る中、荻窪駅前で待ち合わせ。
ウラジミールさんが味のある喫茶店に連れて行ってくれるというので期待していたのだけど、期待以上に素敵で味のある60年以上続く(!)純喫茶だった。「邪宗門」という名前も渋く、タイムスリップしたかのようにどこをとっても美しく年季を重ねたアンティークな内装に、寒波も何処へやら、一気にテンションが上がった私。
ところどころ破れてるボロボロのメニューを見て「何年ものですか?」とお店の人にナチュラルに問うウラさんもいい味出してる。
映画や文学を愛し、いつまでも好奇心を枯らさない文化人たちとの歓談は、とても有意義で心踊る時間なのです。

リキュールのきいたアイリッシュコーヒーを飲みながらふと思い出したのは、そういえば学生時代、演劇をやっていた友達の舞台を何度か観に行ったことがあったなぁということ。赤毛でエキセントリックだった彼女は、数年前に再会した時、すっぱり演劇をやめ質素な風貌のパン屋になっていた。堅実に生きることにしたと言っていた彼女とはその後しばらく交友を温めていたのだけど、ある日私が音楽活動を始めたことを報告すると、返信がなく、音信不通になってしまったな。。なんでだろう。ライブに誘ったりなんかしないのになぁ。。ほろり。

・・さて、久々の演劇はというと。
良かった。もう、びっくりした。

夢を追って福井から上京してきた雛子ちゃん。いつも優しく礼儀正しく控えめな感じで、大声を出したり自己主張するようなタイプにはどうしても見えなくて、今まで演じているところを一瞬たりとも見たことがなかったし、初舞台なのでもっと初々しい感じなのかなと思ったら・・・もう、120%殻を破り捨てていたわけで。
本人とは真逆の男っぽいサバサバしたキャリアウーマンの女性を演じきってて、これが彼女の本来の性格なんじゃないかと錯覚するほど。

「( Ꙭ)・・・え!?デビューがいきなりそれ?そのクオリティもってくる?」

正直、私の初ライブとのあまりの違いに驚愕したし、ギャップ萌えが甚だしい自体に。
喫茶店でウラさんが「花を買わねば」と言い出し、通り道の花屋でブーケを作って行ったのだけど、、買ってって良かった。華々しい女優デビューにはお花がよく似合う。

興奮した様子でシャッターを切りまくる私が監督によって激写されていた!
はしゃいでツーショットも何枚も。(他の写真は瞳孔が開きすぎて怖かった)

興奮冷めやらぬ中、家に帰ってきて。

自分もこのくらい自分を振り切りたいという結論に至る。至近距離でこんなほとばしる才能を見せつけられたら、どうしたって、至る。

絵の方も。
学校で美術を専攻しながらも卒業後は全然別の道に方向転換するところなんか、実は似た境遇の私たち。けど自分が猫の落書きを描くくらいで満足していたところ、この完成度の絵。負けすぎでかなわないけど、絵好きだし、もうちょっとがんばってみたくなった。

人は誰しも原石の塊を内に秘めてて、ひたむきな強い意志さえあれば、驚くほどまばゆい光を外に放つことができるみたい。
ほんとうに誰のことも、自分のことだって、あなどってはいけない。
恥ずかしがったりめんどくさがってる場合じゃないんだな。
もっともっと、できるかもしれない。
ちゃんと信じて、磨いてあげることだな。

うっすら雪の降り積もる寒い夜、そんなことを思い、身震いし鼻をかんだのだった。

ArispiA

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