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香港一人旅③重慶大厦
〜恋する惑星〜

夜のライトアップされた重慶大厦

まずはこの、90年代全開のポップでキュートなテーマソングを聞いてください♪

撮影:クリストファー・ドイル、監督ウォン:カーウァイ。
90年代のおしゃれインフルエンサーがこぞって反応した、懐かしの潮流。
映画『恋する惑星』、
原題は『重慶森林, Chungking Express』。
前半の舞台はここ、重慶大厦(チョンキン・マンション)だ。
なんだけどこれ、後半のトニー・レオンとフェイ・ウォンのこじらせラブストーリーの方が圧倒的に可愛くって印象的。ってことで、その後半のPVを選曲しました。

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重慶大厦の一室にて、iPadで映画『重慶森林』を見る。
そんな試み、やってみてよかった。
扇風機の風が心地よい爽やかな夏の気候。
明日朝早く起きなくちゃいけないプレッシャーもなく、夜遅くまでどっぷり映画に浸かることができるのって幸せなことだなぁとしみじみ感じながら。

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作品はというと、もうずっと前に見たことがあったけど、すっかり内容を忘れていた。
改めて見ると、変な映画だな〜と(笑)
『恋する惑星』っていう名前勝ちなところもあって、リバイバル上映などではいまだに根強い人気があるけど、総括すると不思議ちゃんに振り回される困り顔美男子系映画です。

前半は金髪グラサン美女に振り回される金城武。
広東語、英語、日本語を器用に操るけど、恋だけはどうもうまくいかない。21歳のキラキラオーラにも関わらずフラれっぱなしという設定。

後半は、肩章のついた水色ワイシャツの警察服が素敵な、困り顔の最高峰トニー・レオンが、ベリー・ショートの強気女子フェイちゃんに思いっきり振り回される。
デートのためにがんばって選んだ私服姿がイマイチダサくて、「あなたは私服より制服の方がいい」なんて言われちゃうトニー。何言われてもムッとしたり呆れたりしないで困り笑顔で全部受け入れちゃう器の大きさに、知らず知らず惹かれていくのはわかりすぎる。

けど、勝手にマンションの部屋に侵入し、ゴム手袋はめて証拠隠滅図りつつ大胆に部屋のインテリア変えまくってるの、頭おかしい(笑)そこでおしゃれ音楽かけちゃって、いよいよノリノリで不法侵入を満喫するの、戸惑う。
あ、これはもうファンタジーとして楽しめばいいのかな、とようやく気づき、ことなきを得たけれども。

 

若くてツルツルの金城武より、32歳の独り言の多いちょっとくたびれたトニー・レオンの方が個人的にはグッとくるわけで。
シロクマからトラにすり替えられたぬいぐるみを見て「お前いつからそんなに傷が多くなったんだ?」。新品に取り替えられた石鹸を見て「どうした急に太って」。
…いくら失恋で参ってるからってそんなことにも気づかないって、そろそろちゃんとお医者さんに診てもらった方がいいんじゃないというレベルまできているダメっぷりが、母性をくすぐるっていうね。。

色々突っ込みどころ満載で、オムニバスの効果も疑問なんだけど、圧倒的にポップでキッチュでキュートな世界観が詰まってる。
1994年当時の香港は、まだ中国返還前。イギリス統治の頃の多国籍感がより強く感じられるからかな。
洋楽を大音量で流してるから話が聞き取れなくて「あー?」って聞き返すフェイちゃんの、男の子みたいなぶっきらぼうなショートヘア。

いかがわしくも、平和な世界。
恋叶わなくとも、優しい世界。

いい意味でいい加減で、なんでも許されてる感があって。

見終わった後はじんわりいい気持ちになって、私の傷ついた心も少し癒されたんだった。

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異国の地で、珍しいものを見て新鮮に感じたり、孤独を噛みしめながら、映画を見てその雰囲気に浸ったり、世界の不思議さ、美しさをじっくり味わう。
それは幸せなことだなぁと思った。
私には幸せを感じることができる感受性がある。それに、どんな逆境にもへこたれない知恵や勇気もある。
だから、きっとこれからの人生は順風満帆だなと思った。

私の持つ心の自由だけ、何者にも明け渡さないでいれば、きっと大丈夫。

と、そんな気持ちで眠りについた。

夜のライトアップされた重慶大厦
ミッドナイトも多くの人で賑わう重慶大厦前。