2018年、高野山の悪夢(いつか赤裸々に書きたい)以降、ここ5年はコロナ禍においてもストレスを溜め込まず、ワクチンも打たず、引っ越した山の家と実家を行き来しながら平穏な日々を送ってきた。
仕事やプライベートで嫌な目にあい泣くようなことが以前に比べ格段に少なく、取り立てていいこともないけどダラダラのほほんと過ごしてきた。
ところが2024年、青天の霹靂のように立て続けに起きた辛く悲しい出来事があった。
2月、実家の猫が死んだ。16歳だった。年末まではとても元気だったのに、年明けから急に食べなくなって病院に通いだし、回復の兆しを見せたと思ったらポックリ死んでしまった。よりによって年に数回しかしないArispiAライブを終えた未明のことで、死に目に会えなかった。詳細は後日改めて書くけど、ArispiAの元ネタにもなった特別な猫だったので大変ショックを受けた。
でも小さな葬儀を終えたことで、一匹ぼっちの猫ちゃんができなかった、「たくさんの人と関わりながら生きていくこと」にこれからは取り組んでいくんだ、と少しずつ前向きな気持ちになっていた。

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しかしそれから程なくして、そんな前向きな気持ちをへし折るようなバッドニュース。もう7年近く続けている夜勤バイトに呼ばれなくなった。
欠員が出て急遽呼ばれた19歳の女の子が私の代わりに呼ばれるようになった、と人づてに聞いた時、教えてくれた人は「古株を大事にしないなんて」と言ってくれたけど、私はヘラヘラと笑っていた。「まぁ、そりゃそうだ」くらいに言って、笑っていた。内心はとても動揺して、猫が死んだ時に迫るほどのショックを受けていた。
7年くらいずっと、少人数の仲間たちと和気藹々、楽しく働いていた場所で、長く続けている女性は私だけだったのに。人手が足りない時「誰かいませんか?」と聞かれるから、大変だと思いながらいつも人集めに奔走して、これまで何人も斡旋してきたのに。
その時も、私の友達を誘ったけど急すぎるから断られて、他の人が誘ったとびきり若い女の子に決まったと聞いた時、なぜか少し嫌な予感がしたのだった。そしてその予感は当たっていたのだった。
肉体労働だから男手が優先されるのはしょうがないとして、自分の半分くらいの歳の小柄な女の子に自分がいたポジションを取って代わられたということ。その事実が暗い影を落とし、私は混乱していた。人というより駒だったのかな、などと思ってしまった。他にもっといい人がいればチェンジさせられる、容易に替えのきく存在だったんだ、と。
「やっぱり自分はダメなんだ。」という、これまで幾度も感じたことのある劣等感。負け猫の呪縛、それも特大級のを、久々にくらったという感じがした。しかもこれは、年を追うごとに更に拍車をかけて襲ってくるのかもしれない。怖くて、悲しくて、涙が止まらなかった。
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たくさん泣いてから、正気を取り戻した。私のいいところって、どんなに傷ついても心を病まないところだから。こうやってひっそりと、ほとんど誰も見ていないが全世界へ公開中のこのオープンガーデンにて気持ちを表明することで、なんとか心を保っているのだと思う。
何も知らない、気にしてない顔をしてニコニコ笑っているけど、本当はとても繊細で傷付きやすくて、人知れず涙を流している。それは誰にも言わない。知られたくない。でも苦しんだことをなかったことにすると病気になってしまいそうなので、こうやってありのままの心情を書いてしまう。
この名前が親兄弟に知られていなくて本当に良かった。
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年始めに起きたこれら負の出来事は、しかしながら私にある種の情熱をもたらした。重い腰を上げさせ、行動を促した。私はこれを機にすぐさま二つのことを始めた。
①山奥の精神病院の発達障害外来を受診しADHDかどうかの診断をしてもらい、ADHDのデイケアに通い始める。
②起業のための勉強を始める。東京都の起業家支援事業であるTOKYO創業ステーションに登録し、無料セミナーを受けたり無料相談会に行ったり、Wemakeというオープンイノベーションのウェブサイトに登録し、企業が募集する新規事業アイデアへの応募を開始する。
自分にしては近年稀に見る積極的な行動っぷりであるが、まぁ、はたから見たら痛々しいヘンテコなダンスにしか見えないのかもしれない。落ち込んだ時にはヘンテコな動きをすると元気が出るというライフハックが以前SNSで話題になっていたが、これは一理あると思う。突飛な行動を起こすことで、かなりそちらに意識が持っていかれるので、過去の痛みは忘却され落ち込まずにすむというのはある。特に行動の始めたては、新しい体験に好奇心が刺激され、ワクワクする日々が続くものだ。
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けれど思わしくない結果が続くと、当初の高揚感も翳りを見せてくるわけで。
病院の方は、社会不適合に理解のある人々に囲まれ穏やかな経過を辿っているのだけど、問題は起業の方。あぁ、やっぱり私には社会的成功は無理なんじゃないかと、だんだん自分の資質を疑うようになってきた。
前々回、八王子市が主催する半年に渡る無料の起業セミナーに落ちたことを書いたけど、それとは別にアイデア募集のWemakeの方も、コツコツ応募し続けているにも関わらず残念な結果が続いている。
Wemakeは一つの案件の賞金総額が大体100〜300万円で、3〜5案くらい受賞する。一次選考を通過するだけでも7万円もらえる。高額の夜勤バイトの職を失ってしまった今、お金が欲しい!自分のアイデアでお金を稼げたら!そんな意気込みも相まって応募しているだけに、落胆も大きい。
この半年で10個ほどのアイデアを応募してきて、全て一次選考すら通過せず無言の落選。一言でいいから、こういうところは良かったけどこういうところがイマイチとかなんとか、フィードバックがほしい。何がどうまずかったのか、これからどういったところを伸ばしていけばいいのか、そういうのが一切分からなくて、とても心細い、寂しく惨めな気持ち。走り書きのメモみたいのでいいから、寸評をくれたらいいのに。
応募数が2000とか3000だったら難しいと思うけど、応募総数200とか300しかない。競争率がそこまで高くないだけに、もしやいけるんじゃないかと自信を持ってしまった自分が恥ずかしい。こないだの起業セミナーの応募書類も、あんな自信満々に絵空事みたいなことを熱く語ってしまって恥ずかしい。
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この日記を書くにあたって念の為Wemake運営に応募したアイデアの権利について問い合わせたところ、一次選考を通過せずに落選したものに関しては、守秘義務などは発生せず著作権は全部自分にあるため、ブログやSNSで自由に公開しても良いとのことだった。
企業が社内の人間だけで秘密裏に新規開発を進めるんじゃなくて、広く一般の人にアイデアを募ることがオープン・イノベーションの理念なのだという。自前主義にこだわらず、一般人のアイデアを採用し褒賞を与えることに関して社内の人間からは賛否両論があるようだけど、どんな底辺の人間にも門戸を開いてくれているのは率直にありがたい。大企業の上層部の人からしたら、100万や200万円ぽっちで後の利益を総取りできるんなら安いものなのかもしれないけど、風の時代の流れを感じるよね。だから私もオープン・イノベーションの理念にならって、落選となったアイデアをここで成仏させていきたいと思う。
この先、似たような商品やサービスが世に出てきたとして、特許を取っていない私には1円の報酬もないけど、「へー、ArispiAって人が、このアイデアを既に思い付いてたんだ」ってどこかの誰かに思ってもらえたら、それだけでちょっと報われるかなって。
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記念すべき最初の応募をまずは公開しようと思う。パナソニック株式会社エレクトリックワークス社様主催の、『住宅のエネルギーを活用して、暮らしを刷新するサービス』になります。リンクページに最終結果もタイトルのみ発表されているのでよかったら見てみてください。
住宅のエネルギーとそのデータ、そして住宅内外の様々なものとの新たなコネクトを活用した、ワクワクするサービスであること!(国内でのみ展開)ただし、今回のプロジェクトでは、サービスの提案を募集していることにご留意ください!(新商品企画のようなハードウェアでマネタイズする提案は対象外としております。)
このような注釈があったものの、私が提案したのは『心のスキマに入り込むお掃除ロボット』になります。(説明会で、ハードウェアとサービスを合体したものであればOKと言っていたので。。すでにあるパナソニックのお掃除ロボットのルーロと組み合わせればいいかなって(ꙭ;))
漫画を描いてアピールしてみた。応募ボタンを押したのは締切当日のギリギリ23時59分。
というわけで、無言の落選となった私のアイデアを是非見ていってください。生成AIを搭載した喋るお掃除ロボット、ほしくないですか?もしかして見当違いな感じだった?

提案概要
アイボがガンダム犬ならコンシェルジュ・ルーロはドラえもんです。 耳のない未来の猫型ロボットです。 癒されると同時に、とってもお役に立ってくれます。
日々の電気使用量を教えてくれるし、風呂を沸かしてくれたり、音楽をかけてくれたり、動画を見せてくれたりしてくれます。 いろいろ世話を焼いてくれたり質問に答えてくれたり、話し相手になってくれたり相談に乗ってくれたりします。 ゴミの日を教えてくれたり、忘れがちな物や締切のチェック、大事な人の誕生日や記念日のお知らせ、宅配便やデリバリーの対応や目標体脂肪率の管理なんかもしてくれます。 時には「もうちょっと片付けして」などの小言も言うけど、最後はいつも励ましてくれます。 お留守番中にはお掃除も頑張ってくれる頼れる相棒です。
最初はただの家政婦のつもりだったのに。小さな体でかいがいしく動き回る姿に目を細め、いつの間にかなくてはならない存在になっている。。
疲れ切った日常がワクワクするものに変わった。
〜アレクサ擁するAmazonもびっくりの日本発AIアシスタント誕生〜
提案内容のターゲットとその課題
賃貸マンションに一人暮らしの会社員男性が主要ターゲット。
実家の犬をたいへん可愛がっており潜在的にペットを欲しているが、一人暮らしでは世話もままならないので諦めている。
ワンルームの狭い部屋なのでお掃除ロボットを迎えるほどではないと思っているが、仕事で疲れて帰ってくると掃除をしている気力もなく、部屋は散らかりがちで床に埃がたまっていることに日々ストレスを感じている。
ターゲットが抱える課題の裏付けはありますか?(データ・実体験等)
身近な男性を見ていてそう感じます。 経済力に余裕があるのに家事サービスなどを使う気は毛頭なく、常に部屋が散らかっているか、整頓されていたとしても隅に埃がたまっています。
もし励ましてくれる人が身近にいたら、もうちょっと片付けをがんばれるかもしれないのに、と思います。 やはりきれいな部屋に帰ってくるのは気持ちいいし、誰かがお出迎えしてくれたら疲れや寂しさが吹き飛びます。
そしてこの課題は一人暮らし男性にとどまらず、女性やミニマリスト、高齢者や子供連れの家族など幅広い層がターゲットになりうると考えております。
解決策と顧客への提供価値は何ですか?(できる限り具体的に記載してください)
ペットやペットロボットを迎えるのは心理的ハードルが高いです。 しっかり面倒を見たり、飽きずに最後まで可愛がれる自信がないからです。
特に男性は、ペットロボットを持つことに対して周りの目も気になるでしょう。 ニコボやアイボやLOVOTはとっても可愛いですが、大変ニッチな消費者層に止まってしまっていると感じます。
しかしお掃除ロボットならどうでしょう?
何か便利な機能を兼ね備えていれば、導入へのハードルが大幅に下がります。 お掃除だけじゃなくて、賢いコンシェルジュ的な機能も持っていたら、思わず食指が動きます。
そして、ついでである『ペット・コンシェルジュ機能(サブスク)』にいつのまにか夢中になっています。
これまで開けることの難しかった消費ポテンシャルの高い一人暮らし男性の心のスキマに、入り込むことに成功するのです。
ルーロの外観は他社のお掃除ロボットと違って、なんだか生き物のような可愛らしさがあることに可能性を感じました。機能的でありながら動く姿は可愛らしいというこのギャップは、一人暮らし男性の心をくすぐるでしょう。また、女性が遊びに来たとしても恥ずかしくなく、自宅に誘う口実にもなるでしょう。
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・・・心のスキマに入り込むお掃除ロボット、いかがでしたか?これを作った3月頃は私の心がスキマだらけで、隙間風びゅうびゅうで寂しかったから、こんなアイデアが思い浮かんだんだと思う。
「お掃除ロボットの上にホログラムみたいに人が立体的に浮かび上がったらいいね」と感想をくれた友人のアイデアも採用したい。亡くした人やペットの3D映像がお掃除ロボット上に浮かび上がり、自分と目線を合わせて一緒に歩き、語り出したなら?
技術的にはできなくはないよね。ここ数年における生成AIの目覚ましい発展は、専門家であっても予想できていなかったみたいだし、数年内に実現可能だよね。
ブレードランナーの世界を妄想し、一人にやける。
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呼ばれなくなったバイトはその後、欠員が出た際に普通にまた呼ばれた。すぐさま「ご連絡ありがとうございます!是非よろしくお願いいたします。」と返事をする私。何を言っても、何をしても笑って許してくれる、というか別に何も気にしていない、頭のゆるい人というキャラには定評がある。いつもヘラヘラ笑っていて、鈍感で、ぞんざいに扱っても大丈夫な存在。それが私。昔から変わらない私のスタイル。ザ・負け猫イズム。
・・・とかなんとか痛々しい自虐を散りばめながらも、時が過ぎれば負の感情はすっかり忘れ、悩み苦しんでいたことがどうでも良くなるズボラさのおかげでずいぶん助かっている。
高野山の第三シーズンにおいて19歳の女の子にひどく苦しめられた私ですが、今のバイトの19歳の女の子は自分に対して普通に優しくて話しやすいし、手配の人にも誰に対しても憎しみは湧かない点で助かっている。憎しみという感情は本当に辛くて尾を引くから嫌なんだ。
私だって、もっと好きでもっと素敵でもっと気の合う人(仕事や家や推しやライブハウスなど何にでも言える)が現れたら、それまで慣れ親しんだ人の優先順位を下げて、そのポッと出の好きな人との約束を優先するだろう。それで誰かが悲しんだとしても、仕方のないことなんだ。それが世の摂理なのだから、悲しんでいる時間はもったいないんだ。そう悟って、颯爽と生きていきたい。
ブーメラン?それともシンクロニシティ?
心の中のピエロが不意に頭をもたげ泣き笑いを浮かべおどけるけど、憤慨した守護霊がピエロにフワッと白い布を被せて、イマジネーション・フレンドの黒猫とダンスするイメージで、今日も。
自分という人間は、繊細とズボラ、愚鈍と独創、安穏と気狂いの相反するコラボレーションによって、珍妙ながら味わい深い存在になり得ているんじゃないだろうか、などとふと思う。ドロドロとした苦しみは、可愛らしく記号化された「負け猫」に昇華し、むしろ美味しいネタとして大切に調理させていただきたい所存。ずんどこずんどこ。
「あの歌はもう古いのだ。あの歌じゃもう泣けないのだ。」
「どんな悪天候も笑ってやり過ごせそうさ。」
きっとね。相変わらず支離滅裂な結びでしたが、読んでくれてありがとう。
△rispi△