12月にちょっと一泊旅行をしてきました。
前回の日記にて、もう5年も旅行してない、非日常を味わいたいなどと恨み節を書き綴っているうちにウズウズとした気持ちが湧き上がり、おさまらず、執筆直後に衝動的に。
きっかけは、つくば駅でとある実験バイトに参加したこと。3時間で15000円という高時給にウハハ〜と思っていたら、自腹の交通費がなんと往復4000円近く。4000円もかけてはるばる遠方まで行き、そのまま帰ってくるってどうなん。。と悶々としていると、
旅に出よ!
というイマジナリーフレンドの囁き。これに従いポチッと当日に宿を取ってしまった。

リュックには下着と小さなポーチだけを放り込み出発。2019年の香港旅行を思い出すフットワークの軽さに久々の満足感を味わっていた。
日中の実験バイトも終始穏やかな雰囲気の中、無事終了。待機中、隣のおじさんがずっと陽気に喋り続けていた。最初は上の空で聞いていたのだけど、山中湖ドライブの話になるとがぜん興味がそそられた。冬は雪化粧の富士山の絶景。氷上ワカサギ釣り。ホウトウ食べてあったまるのもいいね。というか八王子インターから山中湖まで1時間で行けると聞き、「えっ?そんなに近いの?」とびっくりした。1時間なら余裕で日帰りできるじゃないの。長く生きていても知らないことだらけだ。いつか行こう、きっと行こう山中湖ドライブ。
そんなことを思いながら、前方に立っている実験を統括する若い大学教授の後ろ姿をふと見やると、パーカーの裾のところにカレンダーとかに貼る小さな丸くて赤いシールが付いていた。ちょっと歌手のVaundy似の、パーマ頭にメガネと黒いパーカーと黒ズボンという黒づくめの格好をした教授が、雑然とした研究室で気付かぬうちに赤いシールを付けてしまったであろうことが微笑ましく、ふいにシールを剥がしてほっぺに付けてしまいたい衝動に駆られた。きっとこれから始まる5年ぶりの宿泊旅に浮かれていたのだと思う。
16時過ぎにバイトから解放された。観光施設はもう閉まっているので、駅の近くの商業施設「トナリエつくばスクエア」に行って腹ごしらえをしたのだけど、これが失敗。
フードコートで迷いに迷って、海鮮丼を頼んだ。米が食べたいと思ったのだ。そしたら700円程の海鮮丼が、びっくりするほどまずかった。フードコートで海鮮丼は二度と頼むまいと誓った。食べ直すお金も体力もなかったので、菓子店で半額シールの貼られたデザートを買い、とぼとぼとホテルへ。
夕飯選びを失敗し旅のスタートに黄色信号が点ったが、宿泊施設は想像以上に良かったので気分が持ち直した。
つくば駅から徒歩9分ほどの『ホテル松島』に素泊まり。つくばエキスポセンターなどにもアクセスしやすく、つくば観光の拠点にうってつけの場所だ。他にもう少し安い所があったけど、数百円の差に目が眩んで近隣の駅にしなくてほんとによかった。。









小さくも清潔に整った部屋で、淹れたてのお茶を飲みながら買ってきたデザート食べ、貸切の大浴場で温まって浴衣に着替え水槽の魚を鑑賞し、部屋に戻ってドライヤーで丁寧に髪を乾かしたりスキンケアしたり歯を磨きながら映画を観て、満ち足りた気持ちで普段よりかなり早い時間にベッドに潜り込んだ。
ビタビタに挟まっている掛け布団で足が圧迫されているのを引き剥がす感じ、ついこないだもあったような気がするけど、もう5年も経つのか‥‥。贅沢する余裕はないけど、一年に一回はまたどこか、安い時期に安い宿に泊まろうと思った。旅に出るのだ。突然やって来るネガティブな非日常によって身動きが取れなくなる前に、健康で自由で平和なうちに、自らポジティブな非日常を取りに行こうじゃないか。
久々の宿の夜はいろんな思いや考えが浮かびまくって、ドキドキしたりワクワクしたり少し泣いたりしてなかなか寝付けなかった。

もっと早起きするはずが、気が付けば朝の9時。
10時頃チェックアウトし、ホテル松島の隣にある『高倉町珈琲』でモーニング。
どこにでもあるチェーン店だけど、高級価格帯だけあってコンセントも使えるし、とっても広くてきれいなのでオススメ。
ビートルズの写真がそこかしこに飾られてるのもうれしいし、トイレもめちゃくちゃきれいだからトイレを必ず使うように。
優雅な気分に包まれ、もう半日くらいここにいてもいいなと思ったけど、いかんいかんと旅の目的のつくば観光へ出立。
まずはバスに乗り10分程の『筑波実験植物園(つくば植物園) 』へ。320円の入園料が65歳以上は無料だからか元気な高齢者がたくさんいたけど、奥に進むにつれ誰もいなくなった。
温室コーナーは冬は暖かくていいし、物寂しい冬枯れの林散策も感性が高まる。ザクザク歩きながら新鮮な空気をたっぷり吸い込み、思索に耽った。
園内はそんなに広くはないので、1時間半ほどで周れた。飲食可能のベンチもそこかしこにあるので、お弁当や水筒を持って行ってピクニック気分で食べたりのんびり読書するのも楽しいだろうなと思った。












実験植物園で美味しい空気をいただいた後は、駅に向かって徒歩20分弱の場所にある『つくばエキスポセンター』へ。“世界最大級のプラネタリウム”という触れ込みに惹かれ、ここでのプラネタリム鑑賞をこの旅のメインイベントに設定していた。
プラネタリウムを最後に見たのはいつだっけ?もう思い出せない。バンプオブチキンの『プラネタリウム』が大好きだし、病院併設のプラネタリウム構想も持っている。プラネタリウムというロマンチックな響き。ずっと心に持ち続けていた、憧れのプラネタリウム…(そんなに好きなら行けよと)
“一番眩しい あの星の名前は 僕しか知らない”
事前にプラネタリウムの上映スケジュールを調べると、13:30〜14:10の枠で『ホルストが奏でた宇宙 ~占星術と組曲「惑星」~』という大変興味深い期間限定のオリジナル番組が予定されていた。『今日の星空解説』や『オーロラ 生命の輝き』も気になるけど、ホロスコープ好きの私としては、是非このプログラムを見ておきたいと思った。

ホルストは、1874年生まれのイングランドの作曲家。ラフマニノフ(1873年生まれ)やラヴェル(1873年生まれ)、ドビュッシー(1862年生まれ)なんかと同世代で、ワーグナーの影響を色濃く受けた。
今回プラネタリウムで上映する管弦楽オーケストラの『惑星』は、「火星」「金星」「水星」「木星」「土星」「天王星」「海王星」の全7曲で構成される組曲。曲を聴いたら、めちゃくちゃ知ってた。『Jupiter(木星)』はまさに有名な平原綾香のデビュー曲の原曲だった。
『惑星』の7つの天体は、占星術(ホロスコープ)における重要なプラネット。世間で知られる初歩的な星占いでは太陽の星座でしか性格や運勢を見ないけど、それだけだと「当たらんやんけ」ってなることが多い。
太陽の衛星である月と、これら7惑星、プラス冥王星は、それぞれ異なるテーマを持ち、個人の性格や性質、運勢に大きな影響を与えている。例えば月はリラックスしている時の素の自分、水星は知性やコミュニケーションの方法を表すし、金星は美的感覚や愛情、火星は情熱の発露の仕方、木星は幸運のありか、土星は努力や責任感、天王星は独創性や改革、海王星はインスピレーションや芸術性なんかを表す。星占いとは本来、地球を取り巻く太陽系の天体がどの星座(サイン)にあるのか、それから天体同士が取る角度(アスペクト)などを総合し、多角的に鑑定するものなのである。
余談だけど、冥王星が組曲『惑星』に入っていないのは、ホルストが作曲した1918年頃にはまだ冥王星は発見されていなかったから。1930年に発見された冥王星は一躍ホロスコープ界で祭り上げられ、「死と再生」を司る大魔王的な位置付けに抜擢されるものの、月よりも小さい冥王星は、その後次々と大きな恒星が発見されたことから、2006年には惑星から準惑星に降格されてしまう。しかしいまだにホロスコープでは重要な天体とみなされている。それが冥王星。プルート、かっこいい。

世界一は35mの名古屋市科学館だそう。
客は私を含めて単独の女性3人。オーケストラの音楽と共に送る【占星術と組曲「惑星」】、40分のプラグラムを堪能した。
組曲とは、現代の音楽シーンで言うところのアルバム。占星術における惑星の意味合いから着想を得て、100年以上経っても色褪せないこんなにも荘厳でコンセプチュアルなアルバムを作ってしまうなんてすごいなぁと思った。占星術は今も廃れることなく根強い人気があるから、ホルストの『惑星』もいまだ熱狂的に支持され続けているのかもしれない。そこの審美眼を誤って、例えば戦争を鼓舞する軍歌のようなものを作っていたら廃れてしまったわけで、後世に残るためにはやはり先見の明は大事だ。
宇宙の星々から運勢や相性、時代の潮流を占う占星術。当たるとか当たらないとかっていうより、そこにはロマンを超えた霊的な何かがあるように思う。人が始めて、人がどんどん教義を都合よく塗り替えていく宗教よりも信頼できる。占星術も似たようなものかもしれないけど、星は決して人の力で撃ち落としたり軌道を変えることはできないから、その「信仰の対象が人間以外で、ずっと存在し続け、誤魔化しが効かない点」において、まだ信頼できる。
それに、紀元前から現在に至るまで廃れることなく、宇宙の天体と繋がって個人の資質や相性を読み解いたり未来予想しようと真剣に試みているホロスコープって、あまりにも神秘的でファンタスティックじゃないですか?
とはいえのめりこみすぎず、私は私の本分を。ホルストのように、ホロスコープから得たインスピレーションを作品に昇華できたらいいなぁ。





サンタ帽をかぶって可愛い!

先っぽに付いてる小さな風車が回って光を拡散する。


15時頃にエキスポセンターを出て、住宅街の小さな商業施設にある17時までランチタイムをやっている『花菜』というお店まで30分程ゆっくり散歩した。パスタのランチセットは、サラダとスープと食後のコーヒとデザートが付いて1,080円とリーズナブルで、手作り感があって美味しかった。お客は私だけだった。
気候の良い日に見知らぬ街を歩くのはとても楽しい。ただ見知らぬ街というだけで自分が異邦人に感じられるのが、寂しくて自由で心地良い。つくば駅周辺はとてもきれいに整備されており、巨大な新興マンションと古びた団地のコントラストが味わい深かった。








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夕暮れ、そろそろ帰ろうとつくば駅に向かう道すがらの信号待ちで事件は起こった。
ふと横を見ると、電柱に何やら可愛いイラストが貼ってある。
なんて脳天気に考えながらよくよく見てみると、そこには平仮名で6文字、「あしでまとい」と書いてあった。

「あしでまとい」とは、私のこと・・・?
お前は一生一人旅の運命、誰かと共に行動するな、などという呪い?私生活でも仕事でも、思い当たる節があるからこそ胸にグサっときた。。5年ぶりの旅を満喫しご機嫌で帰宅するかと思いきや、最後の最後にこの仕打ち。
まさかの後味悪い結果となる、、ところだった。
そこから歩いて5分ほど、つくば駅前まで差し掛かった所で、右手に大きな公園が目に入る。もう日が沈む薄明の頃。彫刻などが並び素敵な雰囲気だったので思わずふらりと足を踏み入れた。
あぁ、そこでのサプライズに救われたよね。エキスポセンターからすぐなのに、さっきは高架のペデストリアンデッキを使ったから通らなかった中央公園『未来への道』。旅のフィナーレに慰みのメッセージをありがとう。







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旅行後記
5年ぶりの宿泊旅、弾丸で予定も詰め込まなかったけど、なんだかんだ珍しいことがたくさんあって、充実した楽しい小旅行でした。「あしでまとい」とかって揶揄する連中は笑い飛ばしてどこ吹く風、好きに生きてるだけで猫のように愛されて、誰かを幸せにできる存在になりたいなっていう結び(こじつけ)。。
ところで、テーマの定まらない当ブログにおいて、ダントツ一番人気の記事は5年前の香港一人旅(映画『恋する惑星』の舞台の重慶大厦について綴った短い文章)なんですよね。どうやら需要がありそうな旅ジャンル。やっぱ旅レポって読んでて興味深いし役立つもんね。
大概がお荷物としてのこれまでの人生でしたが、私ももしかして誰かのお役に立てるかもしれない。ってことで、今後も旅行記を投稿すべく、「金がない」などと言い訳せず、もはや義務のようにして年に一回は宿泊旅に行きたいなと思っています。
ArispiA

