日々是好日

このコロナ禍で舞い込んできたお仕事。
彗星の如く新しくスターダムに乗り上げたアレを補充していくお仕事。
今、巷のありとあらゆる場所で見かける、アレ。手のひらにプシュッっとワンプッシュして擦り込むアレ。

アレをひたすら補充して回った、2020年の夏の思い出。

アルコール消毒液補充員としてのオール・サマー・ロング。

そんな東京都心のバイト帰り。
初めて、いわゆる1000円カットのお店で髪を切ってきた。
ネットで見つけた日本橋駅の近くのカット専門店で、一律1200円(前払い制)。

簡素な看板の先の狭い階段にひるんだけど、恐る恐る2階へと。

勇気を出して行ってよかった。
私が行った16時頃はお客さん誰もいなかったけど、そのためか優しい女の人に時間をかけて丁寧に切ってもらえた。
久々のショートカットは大満足の出来。
店を出るときには小さな店内がたくさんのお客さんで埋まってた。

これまでは吉祥寺のオシャレ美容室で8000円近くかけてカットしてたけど、なんかもう、1200円ですごくいいじゃん。シャンプー&ブローがなくったって、雑誌読めなくたって、マカロンとお菓子が出なくたって、全然いいわ。これからもうずっとこれで。経費削減。どんどん仕分けしていこう。人生コストカット。

行く前にバイト先の人に話したら「女の人はそんな所に行かない方がいいのでは」って言われたけど、お金がなくて苦肉の策だったけど、思い切って行って良かった。浮いたお金で映画が6本見れるわって、ウキウキと軽やかなステップの帰り道。

その後、気が大きくなって初めて寄った駅前の手作りパン屋さん。
30%オフのメロンパンを買ったら、「特別に」と言って半額にしてくれた。びっくりした。

その後、ずっとタイヤがガクンガクンしてた自転車をサイクルショップに持って行って見てもらった。タイヤ交換を覚悟してたのに、空気を入れただけで直ってしまった。

その後、ダイニングテーブルで夜ご飯を食べながら映画鑑賞。
樹木希林や黒木華や多部未華子の演じる『日々是好日』がとても良い映画で、涙を流した。


とてもいい1日。
なのに。
最後に。

後ろを向いてキッチンの引き出しからティッシュを取り出そうとしたら、とびきり大きな黒い虫が現れ出てきたのだった。

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これは何かに似てるなと思ったら、突然の病気の告知にショックを受けながらも、前向きに治療をがんばって、幸い手術も成功して、少しずつリハビリを続け、食べたいものが食べられ行きたい所にも行けるようになって笑顔が増え、再就職先を決めて…これからという矢先に病気が再発してしまうということだった。

なんでそんなひどい仕打ちをするのでしょうか?

病気が怖い、害虫が怖い。
だからと言って怯えながら生きるのではなく、何したって出るときは出ると覚悟を決めて、今という時間を楽しむ。
それが結局のところ最もいい方法なんだということは、分かるんだけど。

そう簡単に不安症を克服することはできない。

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9月、総理大臣が交代し、一つの時代があっさり終わった。
今のところ劇的な変化というのは感じないけど、これを機に少しでも日本が進化してくれたらいいなぁと思っている。

デジタル庁なんてものができるみたいだけど、私が新しい政策として提案したいのが、病院のカルテのデジタル化。
もうヤブ医者に騙されない。誤診や医療ミスなんてあってはならない。
検査だけで何日も待たされ、たらい回しにされた挙句手遅れ、という状況をどうにかして改善したい。
そのために、検査結果やレントゲン写真やカルテなど、全てのデータをデジタル化して、患者は全てそれを無料でもらえる権利を持つこととする。そうすれば診断や治療法に疑問を抱いたとき、すぐにセカンド・オピニオンを聴くことができる。疑問に思った時は数値や画像を提示してネット上などで問うこともできる。これからはもうそういう時代だ。
なんなら数分で終わる問診の模様を音声データや動画データに残すことだって許されていい。言った言わないを防ぐ。当然の権利だ。
そういうのを嫌がる医者もいるかもしれない。でもやましいことがなければ、医者にとっても何かあったとき自分を守る手段になりうる。

一人一人が自分の健康を責任持って管理できるようになること。
数値や診断書を眺めて、自分の頭で自分の体について考える権利を持つこと。どんな薬を服用しているか、どんな治療を受けたか、そういうのを誰もが年代別に整理してしっかり把握できるって、素晴らしくないですか。

「プライバシーが漏洩する危険性」とかいう人がいるかもしれないけど、そんなのは暗証番号やパスワードが漏洩してお金が引き出されるのと違って、デメリットよりずっとメリットの方が上回る。それなら、やるべき、と思うのです。

厚生労働省のホームページに「医療分野の情報化の推進について」という名目でつらつらと書かれているけど表面的なことしか書かれていないという感じ。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/johoka/index.html

・・・と、そんなことなどを首相官邸にメールした。

・・・私はまた熱くなって何をやっているんだろう。でも後悔はない。

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「ずっと前からトイレの時に血が出るんです」

同僚の人からの言葉にドキッとした。

心配になって検査を勧めたら、「忙しいから半年後」と言われた。「仕事に穴が開くことになる」と言われた。
仕事に穴があくという考えはよくわからない。ほっといて大ごとになったら、穴があくどころかもっと休まなくてはならなくなり、もっと迷惑をかけることになり、もっと嫌な思いをするのではと思う。忙しいったって、日曜でも検査できる病院はあるのに。。

次に会った時に、今度は「最近、下痢が・・」と言った。血の気が引く思いがした。ほんのここ数日、ということだったけど、血便だけでなく下痢も重なるととても怖い。
大腸の病気は、痛みなどの自覚症状が出ないまま進行していくと書いてあり、いてもたってもいられなくなった。早期発見なら完治するけど、手遅れになったら人工肛門になったり、全身に転移して死んでしまう。

LINEでそのようなことを伝えた。真夜中、急に不安に襲われ、なるべく温和な口調だけど死を連想させるような恐ろしい内容をWEBサイトのリンクをつけて書き連ねて送ってしまった。

でも、既読になったまま返信はなく、SNSを更新していた。それを見て自分の送った文章を衝動的に削除してしまった。その後、返信はない。

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そこまで仲良くもないのに、でしゃばった真似をしてしまったと後悔した。私が絶対におかしいと感じることと、人の基準は違う。まだ若いし病気じゃないかもしれない。

血便が続いているのをそのままほっとくのは自分としては信じられない。近親者の方が病気で亡くなっているのであれば尚更、それは何かのサインなのではないかと、またいつもの調子で思ってしまう。
けど私の基準と他人の基準は違うから、家族や親友ならともかく、異性の仕事仲間程度ではそこまで踏み込んだことは言えない。

正直なところ強く言えなかったのにはもう一つ訳があって、もしも病気じゃなかった場合、私の早合点となり私の責任問題にもなってくるからだ。忙しい中わざわざ遠くまで行って安くないお金を払って検査したところで、なんでもなかったらその無駄足は私のせいになるよなぁ、という考えがよぎった。これは本当に計算高い、小物の考えだ。けれど、その不安を押し切ってまで、人を不快にさせてまで、検査のゴリ押しはできなかった。自分の信じる正義、本当の優しさを貫けなかった。そのことが自分を憂鬱にさせる。

悶々とする。でも知ったこっちゃない。言うべきことは言った。押してダメなら引いてみる作戦で、病院に行く気になってくれることを願うし、そもそも病気なんかじゃないことを祈るだけだ。ストレスでちょっと内臓が荒れて血が出てただけ。きっとそうに違いない。
心を閉ざし、そっと波風のない平穏な方へ行く。

とは言え、万が一これを見てたら、病院に行って欲しい。
30代でも病気になって死ぬ人はたくさんいるし、ポリープも初期なら良性でも、だんだん癌化してくるということもあるらしい。

脅したくなんかない。人の不安を煽ったりなんかこれっぽちもしたくない。そもそも人は人、自分は自分という考えが強い私は、誰かがプレッシャーに感じたりするような助言めいた言葉を常に注意深く避けている。自分がそれを人にされたくないというのもあるし、人の意思や意見を極力尊重したいから。
でもその思いが強過ぎるあまり、対面だとなかなか自分の意見を言えなくなり、優柔不断な態度をとってしまうことが多い。

わからない。どうしたらよかったんだろう。
でも人生には、何かを正当に不安に思ったり怯えたりしなくてはいけない瞬間というのがあると思う。それはきっと確かにそうだ。向き合わないで避け続けていても、後で何かしらのしわ寄せが来るんだろう。

日々是好日ではどんな時も良い日、と説いている。
絶望や不安もそうなるんだろうか。
無駄じゃないんだろうか。
批判も災難も迷いも、受け入れられる大きな器が欲しい。

今日も支離滅裂で失礼しました。。

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